2021年度 野外研修実施報告

2月5日 第2回「野鳥研修観察会~野川公園の野鳥を楽しむ」

[実施日]2022年2月5日(土)

[場所]都立野川公園・都立武蔵野の森公園

[参加者]14名

[講師]後藤裕子(FIT)、香川淳(FIT)

[スタッフ]小勝眞佐枝

[報告者]関口萌子

 

[実施概要]

 木が落葉した冬の公園や池・川で、講師より説明を受けながら野鳥を観察し、鳥の生態や自然への理解を深めました。

 

[報告内容]

 野川公園に集合し、始めに双眼鏡の使い方を教わりました。その後、武蔵野の森公園の修景池に移動し、岸辺で群れで休んでいるヒドリガモを観察しました。ヒドリガモは9月頃にユーラシア大陸北部などから日本に渡ってくる冬鳥です。冬季はつがいを作る時期で、オスの体は鮮やかなコントラストの色に換羽しており、特徴的な高い鳴き声でメスにアピールしているものもいました。池ではほかにカイツブリやバンなどを見ることができました。

 センダンの木に実が少し残っており、ついばみにきたムクドリやヒヨドリを観察しました。

 

 野川公園に移動し、公園の芝生や木にいるツグミ、シジュウカラなどを観察しました。

 公園ではウメの花が咲き始めており、メジロなどによって花粉が運ばれる鳥媒花であることを学びました。

 鳥は食べたらすぐに排泄するという説明を受けたり、カラスの羽の実物を見せていただき、鳥の羽は中空であることを観察したりして、鳥はできるだけ体を軽くして飛びやすくしていることを学びました。

 

 野川沿いでは、カワセミやキセキレイを観察できました。

 野川沿いでオオタカの声を聞きました。最近野川周辺ではオオタカが増えているそうです。それは、人間が餌付けしたドバトを食べるようになったからだそうですが、オオタカが増えたことによってカモやサギが減ってきているとのことでした。

 

[感想]

 講師の詳しい説明により、楽しく観察し学ぶことができました。カモのダイナミックな渡りのひと時を間近に見ることができたり、双眼鏡を使って様々な野鳥の動きや表情を観察できたので、野鳥がより身近に感じられました。

 野鳥は生態系において大きな影響を持つことから、野鳥への理解をより深めたいと思いました。

 

 以下は観察会で観察・声を確認できた鳥です。

修景池:ヒドリガモ、ハシビロガモ、カイツブリ、バン

野川公園:オオタカ、カワセミ、コゲラ、モズ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ヤマガラ、シジュウカラ、ヒヨドリ、メジロ、ムクドリ、ツグミ、ジョウビタキ、キセキレイ、ハクセキレイ、カワラヒワ、アオジ、カワラバト  計22種

 

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1月29日 第1回「野鳥研修観察会~野川公園の野鳥を楽しむ」

【実施日】2022年1月29日(土)

【場所】都立野川公園、修景池(都立武蔵野の森公園)

【講師】後藤裕子(FIT)、香川淳(FIT)

【スタッフ】高橋喜蔵

【報告者】菅原耕

 

 都立野川公園、修景池にて野鳥の観察会を行いました。双眼鏡を片手に講師の方の案内で観察ポイントを回り、多くの種類の野鳥を観察することができました。

 

 集合場所の野川公園で双眼鏡の使い方のレクチャーを受けました。肉眼で見つけた鳥を双眼鏡でスムーズに見る方法などを教わりました。

 最初は難しかったですが、徐々に慣れてきて最後はだいぶできるようになりました。

 

 その後修景池に移動。池の岸付近にはヒドリガモの群れがおり、近い距離での観察ができました。ヒドリガモは夜行性で寝ている個体も多かったですが、ペアリングの時期とあって緊張状態らしく、特にオスは寝ている時間は長くないそうです。日本でペアリング後にユーラシア大陸の北部に渡り、そこで繁殖するそうです。

 また、近くでは落ちている実を食べようとするムクドリの群れがいました。くちばしで実をしゃぶる姿は可愛らしく、寒く厳しい冬を生き抜こうと健気に努力しているように感じました。

 

 その後野川公園に移動し、公園内、自然観察園での観察を行いました。

 観察園の外では鳥の声が少なく寂しい雰囲気でしたが、自然観察園内でヤマガラ、シジュウカラ、メジロなど多くの種類を観察することができました。

 近年オオタカの数が増えているとの話も聞きました。オオタカはもともとキジバトやカモなどを狙っていたそうですが、近年はドバトも食べるようになったそうです。エサの種類が豊富になり、オオタカもどんどん都会化した鳥になっているのかなと感じました。

 観察園内にはハシブトガラスの個体数が多く、盛んに鳴いている様子でした。

 ハシブトガラス駆除のための檻が近くにあり、公園の方の努力を感じましたが、まだまだ個体数は多い印象で根強い問題なのだろうと感じます。

 

 観察会全体を通じて、講師の方の鳥を発見するスピードに圧倒されました。姿はもちろんですが、たくさん聞こえてくる自然音の中からいち早く鳥の声を聞き取る技術は本当にすごいと思いました。鳥を見つけるときは姿ではなくまず声から、といったことも教わり鳥の姿ばかりを探していた私には大変勉強になりました。

 声だけで種類を判別する技術は私にはありませんが、時間をかけてでも身に着けたい技術です。

 音程が高く、大きい声で鳴くヒヨドリの声だけはわかるようになりました。

 

 最後に観察会で見つけた鳥を下記に報告します。

ヒドリガモ、カルガモ、カイツブリ、コサギ、バン、コゲラ、アオゲラ、

ハシボソガラス、ハシブトガラス、ヤマガラ、シジュウカラ、ヒヨドリ

ウグイス、メジロ、ムクドリ、シロハラ、ツグミ、キセキレイ、ハクセキレイ

セグロセキレイ、カワラヒワ、シメ、カワラバト、ワカケホンセイインコ

オナガ、コガモ、カワウ、キジバト  計28種

 

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12月14日(火)「茨城県自然博物館でコケを学ぶ」

 

【実施日】2021年12月14日(火)

 【場所】ミュージアムパーク茨城県自然博物館

 【講師】鵜沢美穂子(博物館主任学芸員)【幹事】高橋喜蔵

 【参加者】FIT会員(18名) 

【報告者】石井由美子

 

電車•バスを乗り継ぎ、小雨の中10時30分博物館到着。まず先日の木の日研修講師•鵜沢さんの案内で屋外の「こけ庭」へ。解説を受けつつコツボゴケやフタバネゼニゴケなどを特別許可で手に取りルーペで観察、ミクロの世界を垣間見た。

 

雨脚が強くなったため予定より早く野外観察を切り上げ館内へ。午後の企画展見学まで自由見学及び昼食時間。

 

14時10分から再び鵜沢さんの解説で、企画展「こけティッシュ・苔NEWワールド」を見学。入口の生きているかのような加工コケアート作品とコケ3分類のキャラクターに迎えられコケワールドへ。 

 

会場には敷地内の定点カメラで撮影したコケの成長の記録や、胞子嚢から胞子が飛び出す様などの高精細の動画が諸処に映し出され、貴重な標本の数々、会期中成長し続けるコケの壁などが展示されていた。豊富な資料に鵜沢さんのわかりやすい解説が加わり大変充実した研修となった。

 

帰りにミュージアムショップで展覧会パンフレットとコケ図鑑トランプ(単語カードのように右上に穴がありリング付き)を購入、ミクロの森の道案内にしたいと思う。

15時35分博物館発。薄日のさしはじめた中「自然博物館入口」バス停まで歩き、16時1分乗車、愛宕駅へ戻った。

 

なお、当企画展は2022年2月6日まで開催している。

 

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12月11日(土) 「冬芽観察入門」

 

【場所】神代植物公園植物多様性センター

 【実施概要】初心者を対象とした冬芽観察研修

 【参加者】25名

 【講師】臼井治子(FIT)、高橋喜蔵(FIT)

 【スタッフ】小勝眞佐枝

 【報告者】田中清子(臼井班)

 

【報告内容】

神代植物公園(本園)のすぐ北側にある植物多様性センターの情報館前に9時50分集合。講師2名の紹介後、2班に分かれて研修開始。まずは、資料(事前に送付済み)に記載された冬芽の用語について解説を受け、その後、よく晴れて暖かい日差しの中、紅葉が終わりかけているセンター内(伊豆諸島ゾーンには入らず、奥多摩ゾーンと武蔵野ゾーン)を巡った。木々の枝(ときには講師持参の枝)を手に取りルーペも使いながら、多様な冬芽、葉痕、芽鱗痕などを観察した。

 

観察対象の冬芽は末尾記載の通り。他に、トチノキの冬芽はなぜ樹脂でベタベタしているのか、冬芽での対比(裸芽のクマノミズキと鱗芽のミズキ、バンザイのアブラチャンと遠慮のクロモジ、有毛のコバノガマズミと無毛のオトコヨウゾメ)、サクラの冬芽の有毛(エドヒガン→ソメイヨシノに引継がれる)・無毛(ヤマザクラ、オオシマザクラ)などの解説も受けた。

また、講師持参のハリエンジュやキウイフルーツをナイフで縦割りし、中に隠れた冬芽を観察、キウイフルーツは隔壁髄も観察。冬芽以外では、トゲの態様(ナシの茎針など)、枝の出方(転進性のあるヤマボウシ)、1年成と2年成のドングリ、ヒガンバナとキツネノカミソリの葉などの観察や解説もあった。

 

途中に一度休憩をはさんで12時30分頃に終了。最後に講師より、夏の終わりには芽が作られているのでその頃にも観察すること、初心者の参考図書としては「冬芽ハンドブック」(文一総合出版)がコンパクトで内容も充分だが、その葉などについても別の図鑑で併せて確認することなどのお話があった。

報告者としては、ハリエンジュの葉痕が割れかかっているところ(中に隠れている芽(隠芽)が後で出てくる)、バイ

カウツギの隠芽が少し見えるところ、クズのカオ(葉痕と冬芽)の可愛さなどが強く印象に残った。持ち帰って水に挿したフサザクラ(講師持参、美しい花芽)の開花も楽しみである。

多種類の枝を人数分用意して、密度の濃い楽しい研修を実施してくださった講師の方々、企画してくださったスタッフの方々に感謝いたします。

 

【観察した冬芽】

発達した頂芽(ホオノキ)、仮頂芽(シンジュ、センダン、イロハモミジ。チドリノキは頂芽も一部あり)、頂生側芽(ミズナラ)、裸芽(オニグルミ、ムラサキシキブ、アカメガシワ)、有柄芽(ムラサキシキブ)、葉柄内芽(プラタナス、ハリエンジュ、ヌルデ)、隠芽(バイカウツギ、ハリエンジュ、サルナシ、ネムノキ)、半隠芽(キウイフルーツ)、並生副芽(ヤマブキ)、重生副芽(コゴメウツギ)。

その他、ジャケツイバラ(副芽が多数並ぶ)、メグスリノキ、ハクウンボク、クワ、エノキ、ムクロジ、カツラ、ニガキ、クヌギ、アカシデ(果苞も)、ツノハシバミ、ウツギ、ウバメガシ、クズ、マユミ、フサザクラ、クリ、ナンジャモンジャなどの冬芽。

 

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11月20日(土)「ぶらり江戸散歩」~東京駅周辺~

【場所】 東京駅~大手門~東御苑~苑内/都道府県の木の前で解散

 【実施概要】 江戸から東京に変わり、明治、大正、昭和、平成から令和を生きる私たちの生活や文化の中に、どのくらい江戸が残っているのかを東京駅からぶらぶら歩いて探してみました。

 【参加者】 14名

 【講師】 石井誠治(FIT)

 【スタッフ】 高橋喜蔵

 【報告者】 小林玉江

 

【報告内容】

  JR東京駅の丸の内中央口に9時30分集合、まずは各自のFMラジオの電波調整をしたうえで、参加者全員、快晴の駅舎前広場へ飛び出しました。

 (大人数の参加者でも、石井講師の声は確実に各人へ届く仕掛けが用意されていました。)

 

 創建当時(大正)の姿に復元された駅舎を前に、免震工事やレンガの話、正面玄関前に植栽されているのはアイグロマツだと教えていただく。

 

 広場周辺の景色をみながら、森林インストラクターには最低限知っておいてほしいという質問が石井講師から次々と発せられる。

 

・同じように成長しているケヤキの木の雰囲気が違う(一部落葉or黄葉etc.)のは何故?

 

・ケヤキの幹に見える横筋は何?

 

・樹木の入り皮はどうしてできるの? 等々

 

 次に、御幸通りの黄葉した銀杏並木に目をやると、街灯の近くの葉がみな緑色をしているのはどうして?

 

  和田倉門近くでは、ハマヒサカキのガスのような臭いに遭遇、寒い時期なのに花にハエが飛び交っていた。

 

 また周辺の銀杏の落葉が早くなるのは、濠の一部が埋め立てられていることで(関東大震災時のレンガガレキ等が埋設されていた。)水分補給がうまく行われないことに一因があるようだ。

 

 そして、目の前には400年以上の時をへた江戸城の石垣がどっしりとした姿を見せる。

 

 和田倉噴水公園では、小さな流れの中に生じている水流の不思議を実験しながら見せていただく。

 自然を理解しながら観察を進めていくためのヒントとなる。

 

 大手門までの街路樹はエンジュとイヌエンジュ。エンジュが銀座ミツバチの蜜源。エンジュはエンジュサビ病に感染して、イヌエンジュに植え替えられています。福島県でイヌエンジュが中国南部原産のサビイロクワカミキリに食害され、倒木の危険が高まっています。

 

 皇居東御苑に到着!

 

 手荷物検査を受け、いよいよ江戸城に足を踏み入れる。立派なシャチホコ(火除けの守り神)が屋根にかざられた大手門から入城。門を支える柱はケヤキの大木を加工したもので、その太さ、高さに驚愕する。

 

 中雀門の巨大な石垣(花崗岩)は一部玉ねぎの切り口のように黒く変色して見え、先の大戦の影響を受けたのが見て取れた。

 

  道なりに植栽された樹木の観察を続けながら、「果樹古品種園」にて、1品種2本が植栽された果樹品種の説明を聞く。各品種にまつわる話は興味深いものばかりで、現在の私たちがいただいている果物の歴史を知ることになった。

 

・カンキツ5品種:紀州ミカン、臭橙(カブス)、三宝柑、クネンボ、江上ブンタン

 

・モモ、スモモ4品種:薬缶、おはつもも、米桃、万左衛門

 

・ナシ5品種:淡雪、今村秋、大古賀、類産梨、六月梨

 

・柿5品種:禅寺丸、豊岡(とよか)、堂上蜂谷、祇園坊、四溝(よつみぞ)

 

・ワリンゴ3品種:加賀藩在来、リンキ、高坂リンゴ、

 

  「果樹古品種園」から次に向かった場所は、松の大廊下跡から茶畑を経由して本丸休憩所裏手の展望台で、二の丸雑木林の黄葉や濠の向こうに林立する高層ビル群を望みながら、石井講師からまた質問が発せられる。

 

・下に見える雑木林の樹の高さがそろっているのは、何故でしょうか?

 

  展望台を下りて向かった汐見坂では当時、東京湾が近くにみえ日比谷とも繋がっていたことを想像しながら景色を眺める。雑木林の中を抜け、都道府県の木の前にたどり着いた時の時刻は13時近くとなり、ここで本日の研修は終了・解散となる。

 

  短時間の江戸ぶらり散歩でしたが、季節を変えて是非また散歩してみたい場所となりました。

 

今回の研修で石井講師から学んだ森林インストラクターとしての知識の広さや深さ、話し方等を反芻しながら江戸を後にしました。

 

 【東御苑:観察メモ】

 

タギョウショウ、キンモクセイ(花がら)、ジュウガツザクラ(花)、カリン(実)、サンシュユ(蕾と花)、シロダモ(花)、タブノキ、ウメモドキ(実)、タラヨウ(実)、ムラサキシキブ(実)、アオキ(枯枝)、チャノキ(花)、フユザクラ(花)、サザンカ(花)、クスノキ(幹3本)、タイサンボク、ウラジロノキ、ノイバラ(実)、ハナノキ(愛知県の木)。

 

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11月16日(火)「樹木観察入門」

【場所】都立小金井公園

 【実施概要】 初心者のための樹木観察に対する入門研修

 【参加者】17人

 【講師】大石征夫

 【スタッフ】小勝眞佐枝

 【報告者】三井大造

 

 11月16日(火)中央線武蔵小金井駅に9時00分に集合。バスに乗車する前に駅近くの公園のイチョウの木の高さ約3m程度の場所に「野生のミツバチ」がむき出しのまま営巣しており、ミツバチが飛び回っている場所を見学した。このような場所にも巣を作り、活動していることにビックリした。

 

 その後、9時10分頃のバスに乗車し、10分程度で小金井公園の手前の「小金井橋」バス停に到着。このあたりは丁度、小平市と小金井市の境で「玉川上水」が流れていた。

 

 「樹木観察」は小金井公園の西口から始める。ここで現地集合の2名と大石講師のアシスタントと合流し、開会式及び資料の配布、自己紹介等を行い、大石講師からこの公園は面積80haで日比谷公園の約5倍、都立公園のなかでも「水元公園」の次くらいに大きい。本日の行程としては、公園の西口から公園内を縦断し、ピーカン(ペカンとも言う、クルミの一種)の大木がある東口で終了したい。また、今日は研修なので団体行動を行っていただきたい。個人行動は慎んで欲しい。

更に研修の実施を企画する時は人数に注意すること、場合によっては人数制限も必要である。等の本日の研修の概略、考え方及び注意事項の指導があった。

 

 樹木の観察としては、まずミズキこれはコケシの主な材料であり、正月のおせち料理を食べる時に使う「祝箸」(ヤナギバシ)はミズキで作られたが、今は外材の「アスペン」で作られているようだ。「ヤナギバシ」は両方の先端が細く削ってあるが、これはどのような使い方をおこなうか。「クスノキ」からはセルロイドの原料である「樟脳」が抽出され、樟脳は昭和37年まで政府の専売になっていたこと。

 

 その他、各種の木の特徴・葉が蝶々の食物になっている等々の説明は勿論のこと、「小金井公園」の前身は昭和15年の紀元2600年記念事業で計画された小金井大緑地で、昭和29年に都市公園として開園したこと。更に、樹木観察を続け「ニガキ」では大石講師が「ニガキ」の小枝を用意し、受講者に1本づつ配り、かじってみて「ニガキ」の「ニガサ」を実感した。(このあと大石講師が用意したアメを配っていただいた。)等々、数多くの樹木の特徴、見分け方等の説明・解説を行っていただき11時56分に昼食休憩となった。

 

 午後は12時40分に東コースのNO1の「ケヤキ」の前に集合。午後の部開始。ボダイジュはタネの付き方。お釈迦様が悟りを開いたのは「インドボダイジュ」これは葉の先が細長くなっており、葉が左右対称でない。他に「セイヨウボダイジュ」などもあること。

 

 「エンジュ」は辺材と心材のコントラストがハッキリしており、実物をみせて貰いコースターとして使える。ニセアカシア(ハリエンジュ)これはマメ科で地下茎でもタネでも増える。花をテンプラにして食べると美味しい。ただし取るとき「トゲ」に注意すること。

 

 「トチノキ」の実はデンプン質が多く、昔、凶作の時に食べたが「サポニン」と「タンニン」がガードしており食べられるようになるまでに作業が大変なこと。また、公園内に「ブナ」があるが実生では育たないと思われ、ある程度育った木を植えたものが育ち、自然のものではない可能性が高いとのこと。

 

 「イヌシデ」、「アカシデ」、「クマシデ」の見分け方、シデ(四手)の説明。最後に公園の東口付近の「ペカン」これは「オニグルミ」を楕円形にした形態で食べられること等の説明を受けた。

 

 最後に各研修生から本日の感想等の発表があり、15時5分に終了した。樹木の説明にしても説明の仕方、他の樹木との比較、葉の対生か互生か。葉柄の長さ。鋸歯の有無・どのような形態か。樹枝の形態は。等々を理解し、樹木の歴史・使われ方等を調べ、それをどのように説明するのか。非常に参考になる研修でした。

 

 大石講師ありがとうございました。

 

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11月13日(土) 「シダ研修」

 【場所】都立小峰公園

 【実施概要】

  初心者のためのシダの勉強会

 【参加者】18人

【講師】仲田晶子、中西由美子、藤田冨二

 【スタッフ】高橋喜蔵、小勝眞佐枝

 【報告者】福山容子

 【本文】

 

11月13日(土)武蔵五日市駅に9時20分に集合し、バスで10分。青空が広がる都立小峰公園で「シダ研修会」は行われました。

 

観察の前にシダ特有の名称や生活環について説明がありました。葉身・葉軸・羽片・羽軸・鱗片。羽片の軸を羽軸、羽片が一つ切れ込んだものが小羽片、もう1つ切れ込むと裂片と呼びます。シダの葉身は単葉、1回・2回・3回羽状に分かれ、常緑・夏緑・冬緑のシダがあります。

 

シダには維管束がありますが花や実を付けません。胞子で増え、多年生のものが多いです。その生活環は次の通りです。普段よく目にする大きな一枚の葉は成熟した状態で、成熟したシダは葉裏にソーラス(胞子嚢群)を作ります。円形や線形のボツボツとしたものがソーラスで肉眼でも確認できます。胞子嚢の中には子孫を残すための胞子が詰まっており、風や乾燥などの外的要因が加わると胞子嚢が破れ、中の胞子が飛び出し、水気を含んだ場所に落ちるとハート型の前葉体を作ります。やがて有性生殖し、若い胞子体(シダの発芽)ができ、また大きな葉に成長し、ソーラスを作り子孫を増やすというライフサイクルを送っています。

 

シダの識別の仕方はまずは見た目と手触り。次に葉身・裂片・葉軸の形状や色の違い、ソーラスの付く位置・色・形状の違い、適した生育環境などで、これらに着目しながら観察が始まりました。

 

クサソテツ:山菜のコゴミはその新芽。黄緑色で手触りは柔らかい。日当たりの良い場所に生える。下部の羽片は短くすぼまる。ソーラスは胞子葉に付く。1回羽状の葉は栄養葉で根元から胞子葉が秋になると現れる(二形性)。

 

ノキシノブ:一見シダには見えない単葉性。厚い皮質の葉で先端がとがる。木の幹や茅葺屋根に付く。丸いソーラスが葉の上半分に付く。

 

ヒメシダ科のヒメワラビとミドリヒメワラビの違い:どちらも大型で柔らかい印象ですが、ヒメワラビの小羽片には柄がなく裂片は小羽軸に対して角度がついて付く。ミドリヒメワラビはその名の通り深い緑色で小羽片に柄がある。裂片は小羽軸に垂直に付く。

 

イノデ:上から見るとバトミントンのシャトルの形。葉に厚みがあり光沢もある。2回羽状。葉は上半分の幅が広く「肩がある」という表現をする。褐色で幅の広い鱗片。葉軸にも鱗片が付く。ソーラスは内寄り。

 

新しい情報が次から次へと。頭の中はシダで飽和状態ですが、お腹は空きます。正午になり園内の芝生広場に座って昼食をとりました。

 

午後からは3台の顕微鏡で2種類のシダのソーラスを観察しました。顕微鏡のレンズ越しにみたソーラスは手持ちのルーペとは迫力が断然に違い、まさにミクロの世界が広がっていました。

 

1. フモトシダのソーラス:横向きに置いたコップ形の包膜から胞子が飛び出すそうです。

 

2. ノキシノブのソーラス①:成熟し始めた状態。包膜はない。薄緑色の丸いグミのような粒々(胞子嚢)がたくさん見える。

 

3. ノキシノブのソーラス②:まだ成熟していない状態。楯状鱗片が胞子嚢群の上にたくさんかぶさっている。

 

その後、崖下の岩場に顔とルーペを近付けて、1cmほどのハート型の前葉体に極少の葉の形をした若い胞子体を各自確認しました。

 

合計31種ものシダを観察し、再度バスで武蔵五日市駅に戻り、14:45に解散しました。

 

これまでどれも同じように見えていたシダですが、研修を通してシダが実に個性豊かな植物であることを知ることができました。教えていただいた同定ポイントで識別できるよう、今後はよくよく観察したいと思います。充実の一日をありがとうございました。

 

[観察したシダ]

 

 クサソテツ、ワラビ、ゼンマイ、ミサキカグマ、ヒメワラビ、ノキシノブ、イヌワラビ、ゲジゲジシダ、ミゾシダ、ミドリヒメワラビ、ハリガネワラビ、ヤワラシダ、イワデンダ、オオバノイノモトソウ、クマワラビ、オクマワラビ、カニクサ、フモトシダ、クラマゴケ、オオハナワラビ、シケシダ、コウヤワラビ、リョウメンシダ、イワガネゼンマイ、ジュウモンジシダ、ハカタシダ、ノコギリシダ、イノデ、イヌカタヒバ、ベニシダ、コバノイシカグマ。

 

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4月23日(金)「学名から迫る植物の素顔」in 小石川植物園

【実施概要】2班に分かれ、植物及び樹名板を見ながら学名の基本を学びました。

【スタッフ】講師:横山茂(FIT)、高橋喜蔵(FIT) 受付・会計・写真:小勝眞佐枝

【受講者】横山班:10名、高橋班:9名

【報告者】有山尚夫

【本文】

 

小石川植物園は、東京大学の研究施設で、貞享元年(1684)に徳川幕府が設けた「小石川御薬園」がこの植物園の遠い前身で、日本最古の植物園だそうです。天気は晴れ、小石川植物園本館前9時15分集合。初めに講師から学名についての説明を受けました。学名は、すべての生き物につけられたラテン語表記による世界共通の学術用語。種名は、属名+種形容語で構成されます。またその植物が亜種・変種・品種である場合、学名では明確に表記されます。

 

 小石川植物園では、樹名板に“学名”、“和名”、“科名”、”原産国“が示されており、樹名板を見ながら、学名についての説明を受けました。バショウは、Musa basjoo Siebold ex Iinuma、種形容語にバショウが使われています。イチョウは、Ginkgo biloba L. 属名は銀杏(Ginkyo)の由来であるが、誤記があったらしい。種形容語は2つの裂片の意味。

 

 ヒトツバタゴ(Chionanthus retusus Lindle. et Paxton)の花がちょうど満開でした。属名は雪の花、種形容語はやや凹んだ葉という意味になっているとのことです。12時15分温室前で解散。

 

 種形容語が japonica や sinennsisが、日本や中国由来を示すことを教わりました。今まで身近でなかったラテン語表記の学名の中にも理解可能な部分もあり、わずかながら近づけたように思います。これからは、学名にも関心を持ち、ラテン語表記の意味の理解を少しずつ深めたり、属レベルで認識比較することで、植物への親しみが更に増すことと思います。今回の企画に感謝します。ありがとうございました。

 

 小石川植物園のホームページの中には “花ごよみ” というページがあり、それぞれの種の開花や紅葉の時期の目安が一覧になっており、参考になりそうです。

 

 

横山班 観察風景
横山班 観察風景
高橋班 観察風景
高橋班 観察風景

バショウの解説
バショウの解説
ヒマラヤスギの解説
ヒマラヤスギの解説

満開のヒトツバタゴ
満開のヒトツバタゴ
ハンカチノキのハンカチは総苞
ハンカチノキのハンカチは総苞