1.赤
「冬青(ソヨゴ)」の葉は酵素が空気と触れて変色を進めるため、葉を揉みちぎり2時間程度置いておきます。「ソヨゴ」の葉75gを5ℓの水から入れ、沸騰してから20分煮出します。
赤色を鮮やかに出すためにバケツ移し(容器から容器に移して空気酸化をする)を行います。これだけで赤味が増してきました。なお、葉の量が多いと黄味が出るとのことです。
染める行程は、染め→ミョウバン媒染→染めのあとにさらにお湯洗い(80°Cくらい)を5分程度行い、黄味を抜きました。
2.紫
ナンバンコマツナギ(インド藍)の乾燥葉を使います。これはインジルビンという赤紫色の色素を含むため、藍成分と反応して絹を紫に染めます。シルクの質が変わると色合が全く変わり、メッシュ地のインドシルクは明るい紫に、平織りのベトナムシルクは陰影の美しいグレーがかかった紫になりました。
色素の抽出はインド干し葉藍にインディゴ還元剤AZスペシャルと湯を加え、煮出しさらにお湯を加えます。染色法は、抽出液を50℃前後に保ちながら絹の布が出ないようにして染めます。布を出し絞り、広げて空気酸化すると鮮やかな紫色が染まりました。
3.青
クサギの果実は「秋の宝石」といえる貴重な存在で藍以外で唯一の自然の青が染まり、無媒染でシルクを染められます。煮出し液は2番液まで取れました。1・2番液を混ぜ、無媒染でシルクを染めるとメッシュ地シルクは明るい青に染まり、平織りのシルクは、やや緑味の軽やかな青に染まりました。
新型コロナ騒動等で、講師の奥村さん・中野さんは苦労をされましたが、私にとって非常に有意義な実りある草木染の講義でした。なによりも自分で染めて、それを色々な場面で実際に使っており、これからも継続して勉強して世界で唯一の自分染めを作り、使用して行きたいと思っています。
一年間ありがとうございました。また今後も色々と御指導方よろしくお願いいたします。
ソヨゴの葉を事前にもみだす。 煮出した液は薄い色が出る 容器から何度も移すとワインレッドに変わる
①最初に染料作り。作り方は前回と同じです。寸胴にインド藍の粉末とお湯を1ℓ加え、還元剤を入れ、1時間寝かしておく。
②その間に、伝統模様のたたみ絞り(雪花絞りともいう)の準備をした。特岡木綿のてぬぐい2枚を使い、布幅に等分し屏風状にたたむ。次に端から規則正しく2種類の直角二等辺三角形と正三角形をそれぞれ折っていく。布で折るので、結構手間取りました。
次にプラスチックの板で挟む。
③ ①原液の藍に9ℓ水をたし10ℓに薄める。②の布を染液に何か所かに浸し、さいばしを使い布の中まで液が入るようにする。同じ布の折り方をしても、ここで異なる模様に出来上がる。
④水で布を洗い、酢酸で色止めをし、もう一度水で洗って出来上がり、乾かす。
⑤V折り:綿のバンダナ2枚をそれぞれV折りにし、輪ゴムで何か所かとめ、同じ手順の染め方で染める。
⑥綿のバンダナ1枚で「輪ゴムの止め方による模様の変化」:これもまた、同じ染め方ですが、みな微妙に異なった作品に出来上がりました。
同じ折り方で、輪ゴムの位置や染液の浸す位置、染める時間により、微妙に異なる模様になりました。たたみ絞りの無限の可能性を感じます。イベントなどで実施したら、おもしろいと思いました。改めて、職人が作る同じ模様を繰り返す、浴衣の素晴らしさを感じました。
【開催日】2021年11月8日(月)
【場所】川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施概要】インド藍 Tシャツタイダイ染め 濃淡の板締め絞り 濃淡でストールを染める
【スタッフ】講師:奥村具子、中野修平
【受講者】石松成子、星野寛、三井大造、柴田嘉子
【報告者】柴田嘉子
第6回ではインド藍を使って3種類の染め方を学んだ。持参した白っぽいTシャツでタイダイ染め、手ぬぐい2本で濃淡の板締め絞り、綿のストールで濃淡をつける、その他染めたいものを持ってきた人はそれも染めた、盛りだくさんな回だった。
今まではガスコンロを使って染材を煮出していた。日本のタデアイの乾燥葉も煮出して漉して、還元剤を入れ、染め液を作るのにとても手間がかかったが、インド藍は80度のお湯でインド藍の粉末と還元剤を解いて1時間くらい置き、水を足して染め液を作る。この手軽さが、ヨーロッパでウォードという藍染の一種がインド藍にとって変わった理由でもあるのだろう。染め液を作っている時のにおいは、還元剤を使っていることもあるが、タデアイの乾燥葉を使った時と同じようなにおいだった。
まず原液を作り、それを捻りながらクルクルと巻き、十字に輪ゴムでとめたTシャツに上からかけていく。タイダイ染めのタイは縛る、ダイは染めるという意味だそうだ。かける液が下側に溜まらないよう、机の面から石で少し浮かした網の上にT
シャツを乗せ、12時から3時の部分と6時から9時の部分の2カ所にソースのボトルに入れた染め液の原液をかけた後、ひっくり返して裏側もかける。その後、水洗いし、酢酸で色止めして出来上がり。皆、同じ作業をしているのに、布の捻り具合、染め液のかける量や範囲等が違うため、出来上がった模様は全く違うものとなり、それぞれの作品は個性的で、とても面白い染め方だと思った。
原液を水で10倍に薄めたもの、2倍強に薄めたものの染め液を作り、原液と合わせて3種類の濃さを使って濃淡をつけるための染め液を準備し、板締めの手ぬぐい、ストールを染めた。それぞれ頭の中で模様をイメージしながら板締めの板を選び、乗せていく。板を外すまで、どのような模様になるのかわからないので、ちょっとドキドキ、ちょっとワクワクな作業の時間だ。
インド藍は、染め液につけるとすぐに布が薄い緑色になり、外に出して水で洗っているうちに酸化して青くなっていく。染め液につける時間も今までと比べてとても短く、それだけ色素の量の多いことがわかる。今回は、板締めの板をずらす濃淡の模様付けと、この3種類の濃淡の染め液の組み合わせで、どのように染まるか出来上がりをイメージするのが難しかったが、出来上がった作品はどれも素敵なものとなった。
ストールは皆、シンプルに、縦に濃淡を付けたが、濃淡をどれくらいの面の割合にするか、濃淡をどれくらいの濃さにするか、染めない白い部分を入れるか入れないかで、それぞれ違った表情のストールが出来上がった。
1枚の布に自分の思いを込めて作る作品は、出来上がって干す時がとてもワクワクする。鉄やアルミの媒染剤を使わずとも濃淡が表現できる藍染の魅力に触れた回だった。次回の藍染もとても楽しみだ。
【開催日】2021年10月7日(木)
【場所】川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施内容】「藍染め」の座学と乾燥葉化学建ての実施
【スタッフ】講師:奥村具子、中野修平
【受講者】石松成子、星野寛、柴田嘉子、三井大造
【報告者】三井大造
【実施概要】 本日から、「藍」を使った草木染の開始です。
「藍建ての基本」を資料に基づき座学を行いました。内容としては、藍は染める前に「建てる」とのことです。前回までの塾での草木染は煮出した液に色素がありその液で布を染めましたが、「藍」の色素を染め液に出すためには複雑な工程が必要で「藍を建てる」というそうです。
インド藍のような「沈殿藍」が古来使われたが、中世から「蒅すくも法」で染められてきたそうです。これはタデアイの葉を発酵させた「蒅」を藍瓶の中で木炭・酒・フスマなどを加えて還元状態で発酵させて色素を取り出す方法です。顕微鏡も温度計もpH計もない時代に微生物の働きを知り尽くした先人の高い技術は凄いです。
次に、「藍と木綿の町人文化」です。江戸時代換金作物として木綿栽培が広く行われ、木綿の布が行き渡ってゆく中で藍染めも町人に普及してゆき、多様な模様・色彩が生まれてきます。藍染めと木綿は素晴らしいコンビで、明治開国時にこれを見た外国人はすべて藍色の日本人の姿を「ジャパン・ブルー」と呼びました。
1.染め液作り
夏に収穫して乾燥させたタデアイの葉300gを使用。300gの乾燥葉には大変な量の生葉と手間がかかってます。染め液の作り方は、乾燥葉150g+水3Lを加え、10分煮ます。出がらしのお茶っ葉のような葉から茶色の液が出ます。この様相は我々受講生は、「本当にこれで藍染めができるのだろうか・・・」と思いました。
第一液はアクなので捨て、漉した葉はすでに海苔の佃煮のようにふやけています。次に水と還元剤を加え煮てゆくと黄色い泡が出て日なた臭いにおいが漂う。干し椎茸倉庫で幼少時遊んでいた講師先生にとってはいいにおいだそうです。このとき藍の色素が還元状態の液中に溶け出し、黄色い液体となっている。3回還元剤を入れた煮出しを行って藍液をつくりました。
2.自由自在な模様だし
すでにほとんどの受講生はイベント・総合授業で活躍中なので「初心者が大勢来ても模様だしができる藍染め」から始めました。使う物は輪ゴム・荷造りひも・ビー玉・洗濯ばさみです。本来なら細かく縫って糸を絞り模様出しをするところを、洗濯ばさみではさむ・手でしわを寄せてひもで縛る、などの方法で各人各々に大胆で自由な模様を出しました。
3.空気酸化と酢酸色出し
藍染めが最も他の染めと違う点が空気酸化で青く発色する点です。黄色い染め液に布を浸して取り出すと布は緑色に変わり、水洗い後広げ空気に触れるとたちまち青く変化する何度見ても不思議な光景でした。
染めー空気酸化を2~3回繰り返すと布は「縹はなだ色」と呼ばれる明るい紺色に染まります。一番感動するのが洗濯ばさみや輪ゴムを外して布を広げる瞬間です。酸化が足りないと講師から「青くなれ!と念を送れ」と意味不明の叱咤が飛びます。最後に酢酸につけ発色させるとさらに鮮やかな色になりました。
次回の25日はさらにステップアップしてインド藍を使って雪花絞り・板締め絞り・藍の濃淡を染めることを指導していただけるとのことです。
非常に面白く、地球上で1枚だけの藍染めを作成し、自己満足に十分、感動した一日でした。
【タイトル】2021年度第4回草木染塾
【開催日】2021年9月14日(火)
【場所】川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施概要】「季節の素材で染める」と題して、各自で染めたい材料を持ちより好きな色にストールを染める。
【スタッフ】講師:奥村具子、中野修平
【受講者】柴田嘉子、星野寛
【報告者】星野寛
第4回目は各自で染めたい材料を採取し自分で煮出し、染め、媒染を行う、前半の講座で学んだ内容を総括した講座になりました。
各自持ち込んだ染材は、シュロ(葉)、ヒペリカム(実)、ニセアカシア(枝・葉)、ニセアカシア(心材)で、それぞれの染材と染めたい色を話しましたが、本人以外は本当に希望の色になるのか半信半疑で染めるのが楽しみとなりました。
シュロは東京でも当たり前に見られるようになり手に入りやすい材料です。
初めはこんな葉っぱで発色するんだろうかと思いましたが、葉を刻み煮出しアルミ媒染は鮮やかな黄色で蛍光色のようなレモンイエローが出ました、鉄媒染では緑が入ったグレーにこれも思わぬ色となりました。
ヒペリカムは花屋さんでよく見かける赤い実のついたオトギリソウ科の草本、熟した実を採取し染材にする。講師によると赤い実をを染めても赤色に染まる植物は少ないそうでガマズミくらいしか経験がないそうですが、煮出してみると薄赤い染液が出たのでバケツを行ったり来たりさせ酸化処理をしたところアルミ媒染で薄い赤色にが出ました、鉄媒染では赤味のあるグレーとなりました。
ニセアカシアはやせ地に強く土砂災害防止に役立つ樹種ですが、最近は繁殖力が旺盛なため公園などでは邪魔扱いされている樹種でもあります。
ニセアカシア(枝葉)を染めてみると思わぬ色となった、枝葉を刻んで煮出しアルミ媒染では薄いベージュで鉄媒染では薄いグレーとなり、まあこんなもんかと思っていたが、2回目を水を半量にして煮出してみるとわずかに赤味が出てきた、これをバケツ返しをして酸化処理をし高温染にしたらアルミ媒染では鮮やかな薄赤色が鉄媒染では紫味のグレーが出て思わぬ発色となりました。
マメ科植物ではアルミ媒染で黄色となると思っていましたが、講師が調べたところによると同じマメ科のフジでは春に黄色となるが季節が進むとだんだん赤味が出てきて9月に赤色のピークとなる資料があり季節によって染まる色が変化することが分かりました、今後、同じニセアカシアで冬・春・夏に季節を変えて染める楽しみができました。
次は同じニセアカシアの心材を使って染める、火付け用の薪にしか見えない心材を煮出していくと甘い香りが漂ってくる、ニセアカシアの蜂蜜はスーパーでも売っているのを見るので心材からも同じ香りがするのだろう、更に煮出すと赤味のある染液ができた。アルミ媒染でオレンジがかった黄色、鉄媒染でミルクコーヒー色に染まった、同じ樹種でも部位で全く違う色が出たことは面白い結果になったと思う。
今回、それぞれが自宅で一度染めた染材を持ってきた、自宅で染めた色とズレが生じた場合もあった、同じ材料、同量の水、同じ布であっても違う発色となってしまう、講師によると同じシルクでも布によって違い、また、地域の水によって変わる場合があるらしい、教科書通りではなく毎回想定した色となるかドキドキしながら染めることとなる、これが唯一無二の布になるということでしょうか、プレミア感満載でプレゼントに最適です。
草木染はやればやるほど奥が深く新たな発見があります、今後もどんな色となるか楽しみながら学びたいと思います。
次回から藍染の講座が始まります、藍染だけでも相当奥が深いらしい学びは始まったばかりです。
【開催日】2021年7月5日(月)
【場所】川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施内容】トチノキの実を使ってレーヨンのストールをアルミ媒染で染める、キブシの実を使って手ぬぐいの板締めを鉄媒染で染める
【スタッフ】講師:奥村具子、中野修平
【受講者】石松成子、星野寛、三井大造、柴田嘉子
【報告者】柴田嘉子
【実施概要】梅雨最中の鬱陶しい空模様の中、トチノキの実を使ったストールと、キブシの実を使った手ぬぐいの板締めを行った。宿題もあり、今日も盛りだくさん、色の変化に驚き、楽しんだ密度の濃い時間となった。最初に本日の手順やタンニンが多いためお歯黒に使われた五倍子の説明があった。本日使用したような未成熟の実の方がタンニンは多いが、冬に収集したものでも染まるという。
トチノキの未成熟の実は、軽く叩いて割ったものを水から煮出して使用した。厚い果皮の中に、まだ柔らかく白っぽい種子が入っていて、この実を見ているだけではどのような色になるか想像がつかない。水の量に比べてトチノキの実の量が少なく感じたが、煮ていると薄い赤い色に少し黄色が混じった、ジャスミン茶のような薄茶色の染液ができ、再度、半分の水の量で二番染液を煮出すとやや濁った同じくらいの濃さの染液が取れた。なめてみると、栗を煮た時の煮汁のような味で、渋さも感じた。この煮出した液を、酸化させて赤い色を出すため、熱いうちに2つ用意したバケツを10回ほど移動させ、しばらく放置した。すると、色が変化し、ロゼワインのような赤っぽい色になった。温めた染液にレーヨンのストールを10分浸すと、柔らかい薄いピンク色になったが、水洗いしてミョウバンのアルミ媒染に10分浸けるとピンク色が薄くなってしまった。水洗いして再び染液に10分浸けたところ柔らかいピンク色がしっかり付き、80度のお湯で洗うとロゼワインのような赤がしっかりと出てきた。
次に、キブシで染めた。未成熟でタンニンが多いキブシの実は緑色で、水の量に対してキブシの実が少なく見えたが、煮出すと一番染液も二番染液も透明でやや黒っぽく少し黄色が入った茶色の染液が取れた。なめてみると強い苦味があった。
板締めで染めるため、講師があらかじめ濃染処理した手ぬぐいを、折りたたんで上と下の両側から板で挟み、染液に浸すと薄いグレー色になった。水洗いして鉄媒染液に浸けると短時間であっという間にグレーの色が濃くなっていった。様子を見ながら引き上げて水洗いし、形を崩さないよう板をそっと外し、再度違う部分を板で挟み、同じように染液、鉄媒染液に浸けていった。板で挟んでいる部分は染液が入らないため、手ぬぐいの地の色で白と、1度だけ染液に浸した部分と2度染液に浸した部分、鉄媒染液に浸した部分と浸さない部分でグレーの濃淡がついた。同じ作業をしているのに、板の太さや角度がそれぞれ違い、浸けて引き上げる時間も微妙に違うため、出来上がった模様や色の濃さが異なって雰囲気の違うものになり、板締めの面白さを体験することができた。
中庭には、施設の方で雨よけのブルーシートのタープを準備していただき、途中で雨が降り出したのでタープの下で作業を継続することができた。8月は夏休みになるため、クチナシを使ってレーヨンのストールを各自、家で染める宿題が出ている。いただいた見本布では、濃いめのしっかりとした黄色に染まっていた。この染めたストールは10月に藍の重ね染で使用する。また、9月は各自が持ってきた染材を使ってそれぞれで鍋を1つ使って染めるので、楽しく大変な染材探しの夏になりそうだ。
1 午前の前半:座学 「苧麻と木綿 民衆の衣料の歴史」を学びました。
古代遺跡から布片・織機の部品や縄文時代の織機や漆の枝が出土されている。アカソの繊維の編布はむしろやすだれのように編んでいた。
弥生時代以降の民衆の暮らしの中で苧麻(カラムシ)などの紡績・織布が行われた。身の回りにある植物繊維の楮(コウゾ)、藤、葛、科(シナ)なども利用していた。
戦国時代は、苧麻と絹を生産していたが、丈夫で保温に優れた木綿布は、輸入されていた。次第に国内でも木綿が生産されるようになったが、民衆の衣服は主に苧麻を着ていた。
苧麻は繊維を取り出し糸を績み、布を織っていた。強靭な繊維だが硬くて保温性がなく重ね着をしていた。地機で1反織るのに数十日かかる過酷な労働であった。
木綿は長い間高級品として僧侶などに一部使われていた。江戸時代には木綿は藩の換金作物として産業になり、製糸・織りが分業化することにより、糸から布を織るのに1反を約2日でできるようになった。
木綿以前の暮らしでは苧麻を植え、採取し、外皮をむき、織機で布にして家族に着せていたという。すべて自分たちで作らなければならなかった。今ではとても考えられない状況の中を工夫をしながら、生き抜いてきたことに驚き感銘を受けました。
2 午前の後半から実習
午前の後半では、染液を作りサンプル布を作りました。
材料は未熟な青いドングリ(秋に収穫し冷凍にする)とタマネギの外皮を使いました。鍋に水とほんの少しのドングリ(コナラ)の種子をつぶして入れて煮出し。
別の鍋に水とタマネギの外皮を入れ煮出しました。染液とミョウバンと硫酸第一鉄の媒染液ができたころ、サンプル布(絹、木綿と濃洗剤処理をした木綿と毛糸の紐)を染色し、媒染液に浸け、水洗いして、色合いを見ました。
午後からは、染液にシルクのストールを同じように染めました。その後、手ぬぐいで板締め絞りをしました。手ぬぐいをたたんで、板で挟んで輪ゴムでとめました。染液や媒染液の時間や回数の違い、そして、棒状の板や幅広の板などで挟んだ箇所が、白く幾何学模様になり、それぞれ個性的な手ぬぐいができました。
最後に、木綿のバックの叩き染めをしました。藍の生葉を木綿の布の上に置き、ビニールテープなどで生葉をとめ、バックの布の間に新聞紙を入れ、上からの木づちなどでおもいっきり強く叩き、葉の形を布に写しました。
コロナウイルス感染症の影響で、ひさびさに皆と会い、和気あいあいと楽しい一日でした。どれもイベントですぐにでも使えそうなもので、作業しながらも はっきりと色味が出て、楽しめるものでした。4月から草木染塾で教わり、家でもやってみましたが、なかなか思い通りの色や形に出来上がりません。奥村さん曰く「体験を重ねて一つ一つの素材についての理解をしてください」と。まだまだ経験を重ねなければと思いつつ、今度は何の材料で染めようかと、草花を見る目が変わりました。これからの講座が楽しみです。
報告 石松成子
【タイトル】2021年度第1回草木染塾
【開催日】2021年4月12日(月)
【場所】川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施概要】草木染の基本講義、
キバナコスモスとハルジオンを染液として2種類のレーヨン製ストールをアルミ媒染と鉄媒染で染めた
【スタッフ】講師:奥村具子、中野修平
【受講者】石松成子、三井大造、柴田嘉子、星野寛
【報告者】星野寛
2021年度第1回目の草木染塾の開催です、講師2名、受講生4名で全7回の講座を進め草木染を勉強します。
先ずは草木染の基本の講義として歴史から、かつては自然にある植物由来の染料が全てであった。日本では古来から草木染の色によって様々な表し方をしてきており、大和朝廷の冠位十二階では衣服を染めた色によって身分の位を表し当時は位の高い人にしか身につけられないものだった。庶民の間では以前から麻による草木染が使われていた、江戸期に入って木綿の普及により藍染が庶民の色として広く使われるようになった。明治期に化学染料が使われるようになったが、日本は身近に野草や薬草が豊富にあるため自然にある植物の染料から多くの色が生まれ日本の伝統色として引き継がれてきた。
次に草木染の染色方法の講義、染色する繊維は木綿や麻などの植物繊維と絹やウールなどの動物繊維、またレーヨンなどの化学繊維などを使用する。草木染の染料はタンパク質に付くためウールや絹には色がつきやすい、木綿などには濃染剤を使う。色を定着させるため媒染剤を使用しますが、様々な色を出す要因として重要な働きをする。主にアルミ媒染としてミョウバン、鉄媒染として硫酸第一鉄を使用するが、ミョウバンはスーパーで売っている焼ミョウバンではなく生ミョウバンの方が使いやすい。
そして講義から待ちに待った草木染の作業に入ります。今回はキバナコスモスとハルジオンを染料とします、ハルジオンは花も茎も葉も全て鋏で刻みボールの中へ、キバナコスモスは講師が昨年のうちに花びらを収穫し乾燥させたものを使用します。これらの材料を大きな鍋で水から煮ます、煮出す間にミョウバンと硫酸第一鉄の媒染液二種類を作成しておきます。煮出している染料の色具合を見るとキバナコスモスは赤茶色(私的には濃い紅茶の色)、ハルジオンは深い黄色(私的には出がらしの緑茶の色)になっていた。沸騰して20分位たった頃に火を止め鍋からろ過しながらタライに移しますが、これが大変な作業で鍋が重たいので少しずつ移すと煮出し汁が鍋を回って床にこぼれるし湯気が顔を覆ってメガネは曇るし危険な作業となってしまう。染液と媒染液ができたところでサンプル用の布(ウールの紐、絹、木綿と濃染剤処理した木綿の布)を染色しアルミと鉄の媒染液に浸け水洗いして干し色合いを見る。ここで昼食の時間となった、午後から2種類のストールを染めるため、どの染液で染めてどの媒染液にするかを選択する考えるいい時間であった。
午後からは、2種類の織り方の違うレーヨン製ストールを各自で染液と媒染液を決めて染色するのだが、悩んだ末とは言え受講生は全員がキバナコスモスはアルミ媒染でハルジオンは鉄媒染の同じパターンで染めることとなった。しかし、実際に染め始めると染色の時間や回数、媒染の時間や回数が違い、同じパターンでもロープに干して並べてみると違いが出る。キバナコスモスのアルミ媒染はオレンジ色の濃さに違いがあり、ハルジオンの鉄媒染では深い緑色に違いが出て、少し茶色かったり緑が濃かったり、各自で特徴のある色に仕上がった。それぞれ自慢のストールが出来て満足げに持ち帰った。
自宅に持ち帰った2種類のストールを干し直し、改めて眺めてみると緑色の深みに味わいがあり自画自賛ではなく眺めていても飽きず親しみを感じる。後になってから講師が色合いを見ながら自身の感覚で染めてみれば良いと話していたことを思い出した。やはり草木染は微妙な色合いが面白い、これは化学ではなく失敗も含む経験と自分の感性で作成するものかなと思い、もっと沢山の植物を試してみたいと思いました。これからの講座が楽しみです。