2023年度 草木染指導者研修
【開催日】2024年3月8日(金)
【場所】川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施概要】藍染の暖簾に白い型抜きの模様を入れる抜染を習得する
【スタッフ】講師:奥村具子、中野修平
【受講生】佐々木哲夫、武恭子、久保吉己、小林玉江、小野梨香
【報告者】小野梨香
【本文】昨年12月の研修時に「型抜き模様のデザインを作成する」という宿題が出ていました。その型紙を利用して藍染の暖簾に白い模様を入れる抜染の技術を習得するというのが今回の作業でした。
切り絵や影絵のように型紙を切り抜き、抜いた部分が白くなるという技です。
暖簾に柄を入れる前に、手ぬぐいやバンダナ等でテスト的に実際に抜染をしてみました。
今回は各自一つのテーブルを使って藍染の布に型紙を固定し、型紙の上に講師作成の網を載せて、漂白剤を混ぜた抜染用の糊を上からヘラを使って広げ塗っていきます。
最初は皆、恐る恐る塗り初め、加減を考えながら真剣に取り組みます。部屋はとても静かです。
型紙を布から取るのも慎重に、そして次の場所に型紙を載せていくことを繰り返していきます。
この糊の入れ具合(力加減、糊の量等)がなかなか難しいところです。
糊が布に入り、乾き始めると紫芋のような色から茶色へ変色していきます。布(暖簾)が乾くのを待ちながら、講師、受講生ともに最後のランチタイムを和気藹々と楽しみました。昼食時間終了と同時に丁度、糊も乾き、まず水洗いをします。
次に藍専用の漂白剤を熱湯で溶かし、そこに暖簾やテスト手ぬぐいを浸しました。この漂白剤は藍染の色は抜けません。糊だけが白く色が抜けます。そしてまた水洗いして布を乾かします。
糊を縫った部分が徐々に白く、柄がはっきりと分かるようになっていくのがタライの中でも分かります。
みんなで「おお~!」とちょっと感動しながらそろそろ水洗いしても良いとなり洗って乾かします。
今日の天気は朝からぼた雪が舞っていました。お昼近くから晴れましたがこの大きな暖簾が乾くほどではなく、暖房をしている部屋にロープを張って乾かしました。
受講生の暖簾がロープに並ぶと当然同じものは無く、各々個性がありどれもこれも素晴らしい出来でした。
もちろん職人技のような緻密な柄はありませんが、初めての作品で研修の最後の作品の暖簾の完成です。
これで2023年度の草木染指導者研修は終了しました。一年間で学んだ奥が深い草木染の知識や技術に更に磨きをかけてインストラクターとして生かせていけたら良いと思っています。
一年間お世話になったスタッフのお二人に感謝したいと思います。
【タイトル】2023年度 草木染指導者研修
【開催日】2023年12月8日(金)
【場所】川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施概要】インド藍を用いた藍染
①折り紙絞り 3種
②ノレン抜染の説明、下染め
③クチナシ重ね染め
【スタッフ】講師:奥村具子、中野修平
【受講者】小野梨香、久保吉己、小林玉江、佐々木哲夫、吉田昇、武恭子
【報告書】武恭子
【本文】
・折り紙絞り バンダナ布3枚
折り紙絞りの畳み方のプリントが配られ、講師のレクチャーを受けながらそれぞれ3種類の作品作りに挑戦。(傘折り、V折り、斜屏風折り)
1種類ずつ布を折り、輪ゴムをかける→藍液につけ→水洗いして余分な液を落とす→輪ゴムを外す→風に当て藍を酸化させる→水洗い→酢酸につける→水洗い→干す。
バンダナ布は薄手で液の浸透が早い。折り方、輪ゴムの付け方、染め方でそれぞれ異なる作品が出来上がり、大変おもしろい。
・ノレン抜染の説明、下染め
3月のノレン抜染の準備として、今回は藍で下染めを行う。藍は3回染めを繰り返し、濃い色合いが出た。
次回までに各自で白く抜く模様を考え、型を作ってくる。そのための台紙が配られた。
・クチナシの重ね染め
事前にクチナシ染めを施したストールに、今回は藍で色を重ねる。藍液は濃度を薄め、色の入り方を見ながら液につける時間や回数を調整した。それぞれ好みの色で染めを止めたので並べると、緑のグラデーションとなった。写真右端がクチナシ単色のもの。
午前中にバンダナ3枚を織り方を変えて染め、午後にノレンとストール、各自持ち寄りのシャツや手縫いも染め、大満足の一日となった。また藍とクチナシの2色の色を重ねることで色のバリエーションが増え、新たに挑戦してみたいことが増えました。
【開催日】 2023年11月10日(金)
【場所】 川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施概要】インド藍を用いた藍染 第2回は下記の3種類の藍染
・板締めによる雪花染め(三角形、二等辺三角形)
・板締めによる三色染め(白、浅葱色,紺色)
・ディッピングによるグラデーション染め
【スタッフ】講師:奥村具子、中野修平
【受講者】小野梨香、久保吉己、小林玉江、佐々木哲夫、武恭子、吉田昇
【報告書】 吉田昇
今回は濃さの違う藍を染めて板締めを行う。
最初は板締め絞りの一つである雪花絞りの準備をする。長方形の布を染液が入り込みやすいように断面がWになるように四つ折りにする。この帯状の布を端から三角になるように折り畳み、両側を三角形のアクリル板でサンドイッチにする。次に同様に畳んだ布を端から二等辺三角形になるように畳み両側を二等辺三角形のアクリル板でサンドイッチにする。準備が終われば藍染に入る。準備した藍染液を水で10倍に薄める。液中の藍の花を取り除いた後、手でアクリル板を抑えて1か所につき概ね10分間浸漬する。この時間はあくまで目安で押させた圧力で変わるので、透明のアクリル板より藍液の浸透状況を確認しながら時間調整する。通常の草木染めと異なり液に浸漬する前に布を水に濡らさないことがポイントである。各自思い思いに各辺、各面を一ヶ所、二か所、三か所と浸漬し独自性を発揮しようと必死である。この後ドキドキしながら水洗し、染め上がりを見ると受講生から歓声がもれる。二等辺三角形の布も同様に行う。
次は三色染である。元々の藍染液を希釈して浅葱色の染め液を用意する。布を適当に折り、いろいろな形状の板で何か所も布をサンドイッチしてゴムで固定する。一回目の板締めはできるだけ大きく板で覆うことがポイントです。この状態で概ね10分程度浸漬する。この後引き上げて板を外し、板をずらして固定し再度10分程度浸漬する。大きく覆った部分が二回目板締めにより浅葱色と白色になる。板を外し水洗するが、この時が一番緊張する。どんな模様に染め上がっているか全く想像できないからである。受講生から次々と藍染模様に歓声が上がる。
最後はストール状の布のグラデーション染めである。さらに薄めた染液を作り、濃度の異なる三つの染液を準備する。まず薄い染液に布前全体を浸漬し、次に布の三分の二程度を中間の染液にゆらゆらと浸す。引き上げて最後の三分の一を濃い染液にゆらゆら浸し水洗して完成である。浸漬時間は染まり具合を見ながら各自決める。水洗すると、きれいなグラデーションに染め上がる。
頭の中で最終の染め上がりを意識して板締めをするのだと思うが、我々受講生にはそんな器用なことは全くできない。いよいよ次回が藍染の最終回である。
【開催日】 2023年10月20日(金)
【場所】 黒川青少年野外活動センター
【実施概要】 インド藍を用いた藍染
【スタッフ】講師:奥村具子、中野修平
【受講者】佐々木哲夫、武恭子、吉田昇、久保吉己、小林玉江、小野梨香
【報告者】小野梨香
【本文】藍染めは本来数日かけて藍液を発酵させますが、簡単な方法として干したタデアイの葉を薬剤で煮出して染めます。これを藍の「化学建て」といいます。藍染だけは染め液を作ることを「建てる」と呼ぶことを学びました。
今回は「インド藍」という既に発酵させて色素を固めたものを使いました。藍染は液が出来れば、煮染め(煮出して染める)、媒染(媒染液につける)ではなく藍液に漬けた布を空気で酸化させて青色を出す点が今までと大きく違います。
まずは染液を作りました。粉末のインド藍 20g、還元剤 150g 80℃のお湯を1リットルで溶かし、冷めた溶液に水を加えて10倍に薄めるのですが、冷ましている間に座学で藍染めの歴史と藍建てについての説明を聞きました。受講者は真剣に資料を見ながら、興味深く聞き入っていました。
まず小さめのトートバックを染めるのですが、絞り染めの柄を出すために「輪ゴム」を使って思い思いに柄を出す作業をしました。静まり返ってみな真剣です。
インド藍の染め液に浸けて空気にさらすとより濃紺の色になり水洗い、そして柄を出すために止めた輪ゴムを外すと柄が現れます。楽しみの瞬間です。酢酸液で色を固定させ、水洗いし絞って干します。
次に各自用意したTシャツを染めるのですが、「タイダイ染め(tie=絞る、dye=染める)」といい、そのやり方を教えて頂きました。Tシャツを渦巻き状にして輪ゴムで十字に止めます。渦巻き絞り染めは溶液に浸さず、上から液を掛けて染めます。
最後は、バンダナです。これも割りばし、洗濯ばさみで柄を作り、溶液に浸して洗い、柄の出現にみな笑顔がこぼれました。同じ柄は無くどれも楽しい柄です。
藍染めの歴史はとても古く奥が深いものだと改めて思いました。次回も楽しみです。
【開催日時】2023年7月4日(火) 9時30分〜15時00分
【場 所】川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施概要】7月・9月の2回の研修に分け、自分の好きな染色素材を持参した受講者が、素材の葉・茎を細かく切る作業から、煮出し、布地を染めるまでの一連の工程全てを体験する講習内容。
【スタッフ(敬称略)】講師:奥村具子、中野修平
【受講者(敬称略)】小野梨香、久保吉己、小林玉江、佐々木哲夫、吉田 昇
【報告者】久保吉己
【本文】本日の草木染め研修は、7月と9月の2回に分けて、受講者が自分の好きな草木の素材を持参し、素材持込者がひとりでその素材の葉や茎を適度な大きさに切る作業から始まり、煮出しから布地を染め上げるまでの一連の作業工程を体験するものである。本日の持ち寄った染色素材はビワの葉、ローズマリー、クロモジの3つ。また染める作品となる素材はレーヨンストール、シルクのスカーフと濃染木綿の手拭。
1.<ビワ> 講師から赤く染めるために、事前にもみちぎると酵素が働いて、良く染まるという話を聞く。葉を揉みほぐすような作業を行うと同時に煮だし易い大きさに刻んでいった。また本来は12月頃の古い葉(落ち葉)がよく染まるとも言われている。水1ℓに対しビワ20gの量の配分、今回水10ℓに対し量りで200gを用意し、寸胴で20分煮だす。液が赤茶色に色よく煮だされた。更に熱いうちに直ぐにバケツ移し作業を10回ほど繰り返す。この作業を行うと空気酸化されて、色味は時間と共にどんどん増してくる。2番液、水5リットルで更に煮出す。
いよいよレーヨンストールを染める作業へ。ビワ液10分染め→水洗い→20分アルミ媒染→水洗い→10分染め→水洗い→お湯洗い(80℃5分)→水洗い→作品結果は如何に?
2.<ローズマリー> 水1ℓに20gの枝葉を使う。こちらも水10ℓに200g入れて煮出す。煮出すと鍋にロウ物質がたくさん付いた。灰汁や泡が出た場合は染村めムラの原因になるので取る。また脂肪分が浮いてきたらやはり染めの邪魔をするので、こちらもキッチンペーパーで吸い取る。2番液も10ℓで煮出したが、1番液に劣らずしっかりと出た。
さてこちらはシルクのスカーフを染める。10分液染め→水洗い→20分アルミ媒染→水洗い→10分液染め→水洗い→鉄媒染→水洗い→10分液染め→水洗い→作品結果は如何に?
3.<クロモジ> 乾燥した葉を中心に使用。講師から枝の方が色素は多いとの説明があった。水1ℓに20g。水5ℓに葉枝100g弱を煮出す。更に水3ℓで2番液を煮出す。
濃染木綿の手拭を染める。10分液染め→水洗い→鉄媒染→水洗い→10分液染め→水洗い→作品結果は如何に?
4.<作品の結果> <ビワ:液は紅茶色> レーヨンストール→淡いオレンジな発色のきれいな色の仕上がりを見せ、だれもが満足した出来栄えを感じていた。
<ローズマリー:液は黄緑に近い色> シルクスカーフ→折り畳んだシルクを染める過程で、半分をアルミ媒染に、もう半分を鉄媒染に付けた結果、模様は淡い緑色と薄いグレーの、何とも言えないコントラストがシルクの光沢と共に美しい仕上がりを見せた。
<クロモジ:液はからし色> 濃染木綿の手拭→木綿を四角く折り重ねたものを鉄媒染を使って四角のヘリをチョンチョン漬けした結果、淡いグレーのまだらのような模様で落ち着きのある仕上がりとなった。今回クロモジの材料がもう少し多ければ、もっと模様が浮き出たのかもしれないといった見方があった。
「9月はどんな色でどんな模様に染め上がるのだろうか?」期待に胸が弾む。
【開催日時】2023年6月16日(金) 9時30分〜15時00分
【場 所】川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施概要】伝統素材のアカネ(赤色)、キブシ(黒色)を使い、「浸し染め」、「赤を鮮やかに染め出す技法」、「無媒染での染色」
【スタッフ(敬称略)】講師:奥村具子、中野修平
【受講者(敬称略)】吉田 昇、小野梨香、久保吉己、佐々木哲夫、小林玉江
【報告者】小林玉江
【本文】
1)染色の素材
〇アカネ(赤色)
今回染色に使用するアカネの素材は、インドアカネ(根を乾燥)を使用。かつて日本でも染色に利用されていたアカネ染めの方法は、鎌倉時代には絶えてしまったとの事。
赤色素材の代表的な染料植物は、他にもウメ(枝)、ヤマザクラ、ヤブマオ、ソヨゴ等あるが、染液が熱いうちに空気酸化させると更に赤色を鮮やかすることができるとのことで、実習内容に期待が膨らむ。
〇キブシ(木五倍子・黒色)
黒と言えば、お歯黒に使われたキブシはヌルデの葉柄の虫こぶ(フシ・五倍子)を指すが、本物の五倍子サンプルは、茶色で石のような形状をしている。今回は、センター裏手の斜面林からフシの代用品、キブシの果実を採取して使用した。
2)下準備作業(染め液を作る。)
〇アカネ
寸胴に5Lの水+袋に入れたインドアカネ100G+赤色を出やすくするための酢酸を適量入れて沸騰させ、更に10分間弱火で煮出した液をこして、空気酸化を促すために通称「バケツ移し」容器から容器へ10回くらい注いで酸化させる。容器に注ぐたびに染め液の赤みが増していくのがわかる。
→インドアカネは良く色素がでるので4回まで煮出して、都度「バケツ移し」を行い合計20Lの染め液をつくる。
〇キブシ
採集した実を良く洗い、寸胴に10Lの水+果実100Gを入れて沸騰後さらに5、6分煮出して液をこし、2回目は水6L、3回目は水3Lで同様に煮出して合計19Lの染液を作り2つの容器にわける。
キブシ果実は、茹で上がるたびに美味しそうとの声が上がる。
3)アカネとキブシの見本布を作る。
実際の染色手順に準じ、絹、木綿、木綿(濃染め剤)、毛糸サンプルを、染め液に浸しアルミ、鉄媒染で染め分け、アカネは更に無媒染でも染めてみる。
無媒染のアカネは、染め液に浸し水洗い後の80℃の「お湯洗い」がポイント。お湯洗いは、黄色の色素が抜け赤色を鮮明にする効果がある。
4)染色作業
〇アカネ(無媒染で染める+「お湯洗い」)
レーヨンストールを5分間染め液に浸し水洗い後「お湯洗い」をすると、オレンジ色から赤に変わっていく様子はため息が出るほどの美しさで、赤色を鮮明にする大事な工程の一つである。
〇キブシ(「浸し染め」技法)
すぐに濃い色になる鉄媒染でグラデーションをつけてだんだん薄い色→濃い色に染めていく。染める直前に鉄媒染液は作る。シルクストールを半分に折り房の先から染め液→水洗い→媒染液→水洗い→染め液・・・を短時間で繰り返して、好みの色になるまで染める。
「浸し染め」はどの作品も上品な銀鼠色に染まり、明るい赤に仕上がったレーヨンストールと共に大満足の実習研修となった。
5)座学は民衆の衣類の歴史で、「苧麻と木綿について」
1.古代の衣生活
①古代遺跡から布片・織機の部品が出土→弥生以降は紡績・職布が行われていた。
②「魏志倭人伝」より 3C中ころ ヤマタイ国の様子→苧麻と絹が衣類の主な原料。
③多様な植物繊維を用いた。→身の回りにある植物繊維を生活に利用し暮らす。
2.苧麻(カラムシ)を育て、織る
→戦国時代に木綿が伝わってくるまでは、民衆の衣類は苧麻が主体。
→女性達にとって機織りは過酷な労働だった。
3.木綿の歴史
→長い間、木綿は高級品だった。16C末から17C初には寒冷地を除き栽培されるようになった(大量の水と肥料が必要)。
4.ワタを育て、織る
→木綿は分業が成り立ったので、従来の苧麻より短期間で一反を織れた。
→木綿の発展→藍の発展とも繋がり江戸時代には染めの技術も進み、型染めの江戸小紋が元禄文化で町人に使われるようになった。
次回4回目は、各自持ち寄り素材での染色予定で、どんな素材が集まり、色が出てくるのかとても楽しみです。
【開催日時】2023年5月12日(金) 9時30分〜14時00分
【場 所】川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施要領】ヤシャブシ・シュロを用いてミョウバン、鉄(硫酸第一鉄)を媒染として、絞り染め、板締め絞りで模様を出した。
【スタッフ(敬称略)】講師:奥村具子、中野修平
【受講者(敬称略)】小林玉江、佐々木哲夫、武 恭子、吉田 昇、久保吉己、
【報告者】佐々木哲夫
【本文】最初に講師より下記説明があった。
1) タンニンについて
語源・特徴・薬効・タンニンを多く含む植物等について、加えてタンニンによる染材として、ナラ・シイのどんぐり、栗のイガ、クヌギの殻斗、ヤシャブシの球果他色々ある事、又少量の素材で良く染まるため大量の素材で染液を作ると逆に薄い色に染まることがある事等について
2)絞り染め
布をつまんで棒状に引き上げ、その胴部分を輪ゴムで巻いて絞り、染液に触れない部分を作って模様を作る。糸で絞ることもある。立てた割りばしの周りに布を垂らし、その胴部分を輪ゴムで絞るのも簡単である。
3) 板締め絞り
布を一定の形に折りたたみ、同じ形の板2枚で染色しない部分を上下から挟み、板が動かない様、輪ゴムで強く固定する。固定の為必要であれば前記板より長めの角棒を上下に加えその角棒を強く固定する。固定された部分は染色されず模様となる。
次に下記の通り染色を行った。
1) 染色対象:濃染処理済み木綿手拭い、ミニスカーフ (各自、1枚ずつ)
2) 染液
① ヤシャブシ
1番:球果130gを10Lの水から煮だし、2番5Lの水から煮だし、3番:5Lの水から煮だし。1番・2番・3番を混合
② シュロ
1番:葉250gを10Lの水から煮だし、2番:5Lの水から煮だし、3番:5Lの水から煮だし。1番、2番、3番を混合
3) 模様
各自が染色対象の一方を絞り染め、他方を板締め絞りとし各自の意匠をほどこした。
4) 染色手順
① 絞り染め
染色対象を染液(ヤシャブシ)に浸す、色が付いたら水洗いをし、鉄媒染液に浸す。媒染液中で色味が濃くなってきたら、再度水洗いをし、染液に再度つける。色味の変化が見えなくなったら染液から取り出し、しっかり水洗いした後に輪ゴムを外す。
② 板締め絞り
染色対象を染液(シュロ)に浸す、色が付いたら水洗いをし、ミョウバン媒染液に浸す。媒染液中で色味が濃くなってきたら、再度水洗いをし、染液に再度つける。その後軽く水洗いをし、固定した板を外し、その板を最初の位置からずらして布に固定する。その布を鉄媒染液に浸す。適当な時間経過後染液から取り出し、板を外し十分水洗いをする。
今回は2回目なので、前回よりは全体の流れが見えていて新しいことの理解が楽になり、又前回消化不良の部分を整理出来た様に思えた。
参加者の作品其々が個性的で素敵な作品に仕上がっており、創作の喜びの一端を味わえた様に思えた。
【開催日時】2023年4月14日(金) 9時30分〜15時30分
【場 所】川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施概要】*草木染基本講義義
*草花キバナコスモス・ハルジオンで媒染のミョウバン・鉄(硫酸第一鉄)を使用して、シルクとレーヨンのストールを染める
【スタッフ(敬称略)】講師:奥村具子、中野修平
【受講者(敬称略)】小野梨香、小林玉江、佐々木哲夫、武 恭子、吉田 昇、久保吉己、
【報告者】久保吉己
【本文】4月からスタートした第1回目は、午前中前半は草木染の基本的な講義。
石油で作った化学染料が出る前は、ほぼ植物由来の染料で、明治以降急速に衰えたが、山崎斌(アキラ)が「草木染め」を命名で復活させ、息子の山崎青樹、孫の和樹と山崎一族が普及させていった。日本古来の思想には八百万の神があり、自然崇拝があり、日本の豊かな季節感の中で植物名を多く取り入れた、多様で繊細な色目が生まれていった。
午前中後半からお昼を挟んで草木染の実践。今日染める繊維素材はシルクとレーヨンのストールの2種類。草木染の原料となる植物は身の回りにたくさんあり、その中で今日は、キバナコスモスの乾燥花弁とハルジオンの花・茎・葉を使用する。色を固定発色・定着する媒染はアルミ媒染(生ミョウバン)と鉄媒染(硫酸第一鉄)。①まずは染める液を作る作業。寸胴に8リットルの水を入れ、その中にキバナコスモスときざんだハルジオンをそれぞれ入れて沸騰させ、20~30分程煮出す。濾して再煮出しすると染め液ができる。②媒染剤は生ミョウバン16gを500mlの湯で溶かした後、水で薄めて4ℓのアルミ媒染液を作り、もう一つ硫酸第一鉄の粉末1gを少量の湯で溶かし、水で薄めて同じく4ℓの鉄媒染液を用意する。サンプルの絹・木綿・木綿(濃染剤)・毛糸をそれぞれの媒染液に付けたら、繊維素材で色の出方がまるっきり違うことが驚きであった。③シルクとレーヨンのストールを実際に染めていく作業。高温染の手順に従って、シルクとレーヨンのストールをキバナコスモス、ハルジオンの高温染め液に10分浸す→水洗い→媒染20分→水洗い→2度染め10分→水洗い 高温液は80℃位なので、ゴム手袋をしていても耐え切れない程熱い。ストールがまだら染めにならないようにするため、ストールに空気が入らないよう、小まめに甲斐甲斐しく空気抜きしていく。同じ草花の染め液であれば、媒染液によって、色合いが変わる。媒染液は3通りでアルミ媒染液のみ・鉄媒染液のみ・アルミ媒染液に漬けた後に鉄媒染液。各人が色合いのサンプルを見て、自分のシルクとレーヨンのスツールをどのような色に染めたいかはどの媒染液に漬けるかで変わってくるので、皆、結構悩んでいた。④同じ草花の染め液でも、繊維素材によって色合いが全く異なること。それに、媒染液によってもまた色合いが変わり、液に漬けた素材を甲斐甲斐しく手を入れながら程良く見守り、着色剤や媒染剤の漬ける量や時間、繰り返しの工程などで色合いが様々に変わることの奥深さを何となく感じ取れた。次回の講座が待ち遠しい。
【開催日】2023年3月17日(金曜)
【場所】川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施概要】植物の色素について 染料の歴史 草木染の基本 クチナシの染め方
【参加者】FIT会員10名
【スタッフ】奥村具子 中野修平
【報告者】小野梨香
【本文】研修の開始時間は12:30からであったが、受講者全員が15分前には集合した。予定開始時間より少し早めに開始となった。
スタッフの挨拶と受講生の簡単な自己紹介を終えて始まる。最初はマスクのせいもあり顔も良くわからず緊張気味の受講生も自己紹介で少し和やかな雰囲気になった。
まずは植物の色素についての話で、葉緑素、アントシアニン、タンニン、そして樹木のキハダ(昔から使われている主な色素の一つ)の黄色のベルベリン、これは健胃や消炎などの薬効にもなる話、陀羅尼助(だらにすけ)という薬で関西では今も売っているなどの話を楽しく聞くことができた。
伝統の絞り染めも輪ゴムで簡単にできる
今日はクチナシという身近な誰もが知っているものを使って染色するのだが、その簡単な説明を受ける。色素としてはクロセン、クロセチンで黄色に染まる。代表的なものは主にお正月に頂く栗きんとんのあの黄色だ。
更に染色の歴史についての話も聞く。旧石器時代にはベンガラ、黄土などが顔料として使われ衣服の着色に発展したようだとのことも学ぶ。大河ドラマでもやっていた藍染の話も含めた染色の歴史など楽しく興味深い話を聞くことができた。
そしていよいよ実習に移るが、本日染めるのは木綿バンダナだ。草木染は動物性繊維(絹や羊毛)によく染まり、藍は植物性の木綿や麻によく染まるという、染める相手との相性も学べた。
どんな模様ができるかドキドキ
真っ白な木綿のバンダナが一人一人の手に渡り、輪ゴムでぐっと絞った部分に色が入らず白く柄になり、その他に色が入る。講師が簡単な絞り染め模様を作るために輪ゴムで縛ってくださいね、と言った。和やかな雰囲気が一変し、しーんと静まり返った。受講生が各々輪ゴムで絞ることに夢中になったためだ。
次に外に出て3グループに分かれ、クチナシを30分ほど煮出した液に和気藹々と「せーの!」と、バンダナを入れて10分ほど待ち、簡単な水洗いそし媒染液(ミョウバン)に20分ほど浸けて色を定着させる。
ミョウバン溶液につけると布に色素が定着する
輪ゴムを外して水洗いし、絞って干した。色は黄色~山吹色で思った通りの柄なのか、こんな柄かと意外な柄になったのか、まさに十人十色の柄が出来上がった。どれもこれも面白い。
各自の作品と一緒に記念写真を撮って頂いた。干したバンダナをみなそれぞれ見て楽しんだ。
部屋に戻って感想を述べ合った。異口同音に楽しかった、違う色になるものをやってみたいなど草木染に更なる興味を持たれた方が多かった。
楽しい研修をどうもありがとうございました。
一点物ができました 春らしい山吹色