【開催日】2023年1月20日(金)
【場 所】川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施概要】藍染めの暖簾に白い模様を入れる抜染を実施
【スタッフ】講師:奥村具子、中野修平
【受講者】藤岡眞、加古明子、石井由美子、氏家清高
【報告者】氏家清高
【実施概要】
年末に宿題として自宅で模様をデザインし、それを切り抜いた型紙を使用して、藍染めの暖簾に白い模様を入れる作業(抜染)を実施。
本番前にバンダナ大で暖簾と同じ布に藍染めしたものに、自分で作成した宿題の型紙または講師作成の型紙を使い、テストの抜染を行う。手順は以下の通り。
手順1 藍染めした布の上にテープなどを使用し型紙を固定する
手順2 型紙の上に網をのせ、漂白剤を混ぜた抜染用糊を上から薄く広げる
手順3 糊が染み込み乾き始め茶色に変わったところで、布を水洗いして糊を落とす
手順4 藍専用の漂白剤に浸す
手順5 布を乾かす
初めて行う作業で受講者の皆さんは真剣に布の上で糊を拡げる。最初はぎこちないが、段々と慣れてくる。網を通して型紙の上へ糊を慎重に広げる。どのようになるかは終わってみないとわからない。糊を落として、漂白剤に浸してみると、糊を塗った部分がどんどん白色になっていく。結果は上々であった。皆さんの驚きの声がする。
いよいよ、暖簾に挑戦。大きな暖簾なので会議用テーブルを二つ合わせた台の上で作業を行う。バンダナ大の布とは違い、大きな暖簾を扱うので、糊が飛び散らないように注意深く作業を行う。すでにテストの布で糊の伸ばし方や力加減を体験しており、作業はスムーズに進む。側から見ると皆さんの姿はまるで職人のようだ。しかし、現実は厳しい。糊の付いた網を使い回したこともあり、余計な糊を意図していないところへつけてしまった。それでも自分なりに糊の広げ方を工夫しながら、なんとか作業は終わった。そして糊を水洗いして漂白すると、初めてとはいえ、でき上がった暖簾は驚くほど上出来であった。自分の作成したデザインが白く、くっきりと藍色の中に浮かび、それぞれ個性のある作品となった。乾燥のため、外のロープにそれぞれの暖簾を吊るし、全員で意見を交換する。この時間が大変に心が和む。こうして草木染指導者研修の最後の作品としての暖簾が完成した。
2022年度の草木染指導者研修は終了した。初めての草木染体験として、初歩から教えていただいた講師の方に感謝したい。これからも教わった技術や知識を活かして草木染を続けたいと思う。楽しい1年間でした。
【タイトル】2022年度第8回草木染指導者研修
【開催日】2022年12月16日(金)
【場 所】川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施概要】クサギ•インド藍•インド茜による染色
【スタッフ】講師:奥村具子、中野修平
【受講者】藤岡眞、加古明子、氏家清高、石井由美子
【報告者】 石井由美子
【実施概要】
終了間近の第8回、色も素材もとりどりの今期最終の煮染めを行った。
まずは染め液をつくる。
インド藍の干し葉とインヂゴ還元剤AZスペシャルに温湯を加え加熱、沸騰後20分煮、ザルで濾した抽出液に更に温湯を加えて完成。インド藍はインジルビンという赤紫の色素を持つため藍分と混合して紫色の液になった。
クサギの青い実とインド茜のレンガ色の根は水から加熱、沸騰後20分煮てザルで濾す。クサギは青緑色、インド茜は濃いオレンジ色の抽出液ができた。クサギは2番液、インド茜は3番液まで出した。
いよいよ染色であるが、2種類の絹ストールをインド藍とクサギのどちらで染めるかが悩みどころ‥。
それぞれ選んだ布をまず藍液へ。5〜10分ゆらゆらさせた後広げて空気酸化すると鮮やかな紫色に。同じシルクでもベトナムシルクは青みがかった紫になった。
次にクサギ染めをする。クサギは無媒染で青を染める唯一の素材であるが、ベトナムシルクは明るい水色に、インドシルクは淡い青緑色になった。あっちの組み合わせも良かったなあなどと思いつつ眺めるが、並んだ色はどれも美しい。
媒染も挟んだり縛ったりもないためか寛ぎムードの昼休みの後、茜染めをスタート。
酸化させるため「バケツ移し」をして赤みを増したインド茜液で、先日のテレビ番組で見た木綿の無媒染による明るいピンク色を目指す。
一斉に液に漬けるとすぐにオレンジ色に。5分間80度のお湯で洗うとみるみる黄色が抜け、濃いめのピンク色に変わった。何枚かに色むらが出たのはソービング(予備洗い)不足のためと考えられる。濃染処理をした木綿ストールは濃い暗めの茜色に染まった。
ずらりと寒空の下に並んだ色々色‥!
藍や茜から藍色•茜色以外の色も生まれ、またまた草木染の奥深い世界を垣間見た。
最後に、次回の卒業制作用の大暖簾を水で溶かした大和藍で染め直し、盛り沢山の実習を終えた。
【開催日】2022年11月18日(金)
【場 所】川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施概要】藍染による「雪花染め」「折り紙絞り」ほか
【スタッフ】講師:奥村具子、中野修平
【受講者】石井由美子、氏家清高、藤岡眞、加古明子
【報告者】加古明子
染物講座も残すところ3回となり、今回は藍染による①「雪花染め」手拭い2枚 ②「折り紙絞り」バンダナ2枚 ③各自好みの技法によるガーゼストール ④のれんの藍染(卒業製作の下準備)と盛りだくさんです。
染め物研修も山場を迎えたかの感。幸い天気は文句なしの晴天。染め物は外作業が多いのですが、初回から雨に悩まされてきたので、青空の下で作業ができるというだけで気分は上がります。
まずは染色液の準備です。粉末のインド藍にインジゴ還元剤を混ぜ、湯を加えて攪拌し1時間ほど寝かせます。その間に「雪花染め」の座学を受けました。雪花染めとは、さらしなどを小さく三角に折りたたみ、アクリル板などではさんでその一部を染めることで連続模様を作るという染色技法。模様が雪の結晶にも見えることから「雪花染め」です。みんな無言で手拭い2枚をひたすら折りたたむ作業に集中しました。続いては「折り紙絞り」の座学。バンダナは折り紙同様正方形なので「折り紙絞り」。バンダナ一枚を小さな三角に折りたたみ数カ所を輪ゴムできっちり縛ります。
寝かせておいた液体に水を加えて藍染液を作り、外に持ち出して染色作業にかかりました。水洗い後、布を広げるときはいつもながらわくわくどきどきです。今回も想像できなかった模様が次々に現れて、それは万華鏡の世界にも似て美しいのです。先人達が編み出した技に感心するのみ。ここまでが午前中。
食後は折り紙絞りの、少し高度な折り方でもう1枚のバンダナを染めました。ロープに干された作品はどんどん増えて壮観です。続いてガーゼストールの藍染め。グラデーションの技法を用いる方が多かったです。
そして最後は1月の卒業制作の特大のれんの藍染め。のれんは1月に「抜染」という型抜き技法で染めるのですが、そのための下準備です。
盛り沢山の作業は、青空のもと紅葉のもと、忙しくも心地よい怒涛の時間を刻んでくれました。最後に干した作品を各自が回収する段になって、引き取り手のいない「迷子」や「取り違え」がおきるハプニングもおきましたが、これもご愛嬌。なごやかな雰囲気のうちに終了となりました。
【開催日】2022年10月14日(金)
【場 所】川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施概要】インド藍を用いた藍染、藍染液の濃度を変え3色に染める
【スタッフ】講師:奥村具子、中野修平
【受講者】加古明子、石井由美子、氏家清高、藤岡眞
【報告者】藤岡眞
【実施概要】
2022年度の草木染指導者研修第6回が実施されました。二日ほど前の天気予報で晴れを期待しましたが、当日は朝から小雨。それでも、今日は待望のインド藍による藍染です。
朝一番で、染め溶液の下作り。粉末のインド藍にインジゴ還元剤を混ぜ、そこにお湯を加えます。攪拌して60分冷まします。
冷ましている間に、「インド藍を用いた藍染」についての座学。インド藍の特徴と染め液作りの段取りの説明を受けました。そして今日の作品となるTシャツのタイダイ染め(tie=絞る、dye=染める)のやり方を教えていただきました。渦巻き絞り染と紐を用いた絞り染めの2種類。早速、各自用意してきた2枚の綿のTシャツに取り掛かかります。1枚目は、シャツの中心から指で渦巻き状にして、輪ゴムで十字に止めます。2枚目は、夫々工夫した襞を紐でぐるぐる巻きにします。
既に冷めた濃い溶液に水を加えて適度な濃度な溶液を作り、この溶液を渦巻き絞り染は、容器に入れた溶液を上から注いで渦巻き模様を作ります。もう一枚の紐で縛った絞り染のTシャツは液に漬け込みます。
止めてあった輪ゴムと縛ってあった紐を外すと、個性的な2枚のTシャツが姿を現しました。似たような作業をしているのに、各自の作品は一つ一つ個性的。並べてみると、まるでブティックの店頭の様に見え、悦に入りました。
Tシャツの後は、2種類の濃さの溶液を使って、手ぬぐいとバンダナに板締め絞りです。一回染めた後に板をずらして、白を含めた3色の色合いを染め分けます。これまた個性的な作品が出来上がり、お互いに鑑賞しあって楽しみました。
藍染めは、日本で古くから親しまれてきた染めで、その色彩を見ていると懐かしさも感じて心が和みます。意外性もあって、染めがだんだん楽しくなってきました。
【開催日】2022年9月9日(金)
【場 所】川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施概要】タデアイの乾燥葉(化学建て)による染色を実施
【スタッフ】講師:奥村具子、中野修平
【受講者】藤岡眞、加古明子、石井由美子、氏家清高
【報告者】氏家清高
【実施概要】
草木染指導者研修も後半に入り、今回から藍染めに挑戦です。
(染め液)
タデアイ200gを2つの鍋で煮込み、染め液を作ります(タデアイ100gにつき水2Lの割合)。煮込んでいくと表面に紺色の泡が湧きいてきます。それを藍の華と呼びます。黄色い泡も混じり、紺色と黄色できれいなコントラストです。染め液の内部は黄色く、表面に出てきて空気と触れることにより紺色になります。1回目はアクが出るので捨て、2回目から還元剤AZを1Lに10gの割合で加えて煮だし、3番液まで作りました。
(素材)
今回の素材は以前カラスノエンドウで染め、緑色にならず黄色くなったレーヨン製ストール。そして、木綿の手ぬぐい・バンダナです。手ぬぐいとバンダナはあらかじめ洗濯バサミ、割り箸や輪ゴムを使用し、各自が思い描く模様となるように畳んだり捻ったりしておいたものを使用します。この時点でどのような模様になるかわからないのですが、皆さん期待で胸が膨らみます。
(染める)
屋外に1番液、2番液および3番液を準備して、藍染めを行いました。どの染め液を使用するかは自由。布を染め液に入れます。最初、布は緑色に染まりますが、空気に触れているうちにだんだん青くなっていきました。酸化による発色。見ているうちに青色に変化します。布を水洗いし、各自が求める色が出るまで染めを繰り返します。最後に薄い酢酸に入れて発色・色止を行います。ここで見事な藍色が出たと実感しました。
1番液、2番液、3番液で染めた結果を比較すると、1番液は紺色に、2番液はやや薄い紺色、3番液は水色に染まり、当然ながら段々薄くなることが確認できました。これらの結果を利用して自分で好きな色を出したり、藍色によるグラデーションも可能かと思います。
(乾燥)
染めが終わった布は水でよく洗い乾燥させます。本日の皆さんの作品を一本のロープに並べて乾燥させます。細工を施した手ぬぐいやバンダナは開いてみると、思ってもいなかった楽しい模様となりました。ストールはきれいな青に近い緑色になり、カラスノエンドウで染めた緑色とは違う色になったかと思います。緑色のストールという目的は達成できました。
【開催日】2022年7月8日(金)
【場 所】川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施概要】持ち寄り素材による染色
【スタッフ】講師:奥村具子、中野修平
【受講者】藤岡眞、加古明子、氏家清高、石井由美子
【報告者】 石井由美子
【実施概要】
前半最後の第4回は各自の持ち寄り素材による染色を行った。
素材は黄系のアカメガシワ(葉)•シュロ(葉)、赤系のアンズ(材)•ビワ(葉)、そして驚きのアボカド(皮)の5種。
前回までは共同鍋での作業であったが、今回は各自自分の素材を別々の鍋で煮出し染め液を作った。赤色は材料を入れすぎるときれいな色が出ないので、1リットルに25g以下が適量。アンズとビワは乾燥したもので良いが、アボカドは不可。
沸騰から煮ること20分、各自色の出具合を見て時間を加減し、5つの鍋の中は、少し濁った黄茶(アカメガシワ)•澄んだ黄(シュロ)•赤(アンズ)・オレンジがかった赤(ビワ)•黒っぽい赤(アボカド)に。赤系の3種は更に前回のイチイ同様「バケツ移し」で酸化を促した。
素材が5種.それぞれ2種類の媒染をするので計10の色とりどり。更に染める布によっても色が変わるので、30色以上の中から自分の染めたい色を決めるという悩ましくも楽しい選択の後、昼休みを挟んでいよいよ染色開始。
染める枚数も染液も多いので作業は中庭で行った。元講師の矢吹さんも加わり、前回習った板締め絞りやグラデーション染めも交え、浸し→水洗い→媒染→水洗い→浸し‥と、色の変化に一喜一憂しつつ染色に没頭、色も模様も様々な作品が出来上がった。
毎回、自然からいただく色の美しさにワクワクの研修ですが、今回は更に多様な、予想を超えた姿に出会えました。同じ素材でも季節や地域によって結果が異なることもあるようです。残り4回、更に奥深い草木染の世界…楽しみです!
【開催日】2022年6月17日(金)
【場 所】川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施概要】イチイ(心材)、キブシ(若い果実)を使っての染色
【スタッフ】講師:奥村具子、中野修平
【受講者】藤岡眞、石井由美子、氏家清高、加古明子
【報告者】 加古明子
4月からスタートした草木染め教室も6月を迎えて3回目。4月はハルジオン(茎、葉、花)とキバナコスモス(花)、5月はカラスノエンドウ(茎、葉、果実)とヤシャブシ(果実)。
続く今月はイチイ(心材)とキブシ(若い果実)が課題です。4月、5月は黄色系、オレンジ系でしたが、イチイは赤系に染まるとのこと。
キブシはヌルデの葉軸にできる虫こぶ、ヌルデミミフシ(生薬名は五倍子 フシと読みます)の代用として使用します。キブシの名もここからきたそうです。
五倍子は古代より「お歯黒」の染料として用いられ、平安貴族の化粧として江戸時代になると庶民にまで広がった既婚女性のたしなみで虫歯・歯槽膿漏・口臭防止の効果もあったといいます。
草木染めにおいても、五倍子の染液はタンニンを含むので、鉄媒染で紫鼠色に染められます。この色は空五倍子色(うつぶしいろ)と呼ばれ珍重されました。
作業はイチイの心材を細かく輪切りにし、キブシは裏手のやぶから採取することから始まりました。
キブシは花が終わり若い果実がすでに大きくなっていて、両手いっぱい80gほど採取できました。
これらを大鍋で20分ほど煮出して染液を作り、3回煮出して合計18ℓの染液を作りました。
イチイも3回煮出し20ℓの染液を作りましたが、イチイの場合は「バケツ移し」といって染液が熱いうちに容器から容器にじゃばじゃばと移して酸化を促すと、赤が徐々に濃くなっていくのです。
ここまでが午前中の作業。
午後はシルクの白地縦長スカーフをキブシで、木綿の手ぬぐいとバンダナをイチイで染める作業です。
シルクを染めるのは初めて。染める技法はグラデーション染といって染液に浸す時間を変えることで色の濃淡ができてグラデーションになるというものです。具体的には端から10㎝ほど2分浸しては水で洗い、次は20㎝ほど2分浸す、次は30㎝ほど2分という具合に染めていきます。
イチイは新たに「板締め」という技法に初挑戦。バンダナは蛇腹に16分割(22.5度)に折り畳み、丸、三角、四角、棒状など用意された板から好みの大きさや形を選んで両側から布を挟み、輪ゴムで両端をきっちり止めます。手ぬぐいは幅を4分割に折り、長さを8分割にして同様に板で挟みます。分割は好みです。
開いたときにどのような模様になるか、お手本の作品を見ながらの作業ですが、開いたときの図柄は想像できないままに、出来てのお楽しみということに私はしました。
そしていよいよ染めの作業。みんなの顔も期待でわくわく楽しそうです。
染液はそれぞれ2つのたらいに分けて3人ずつ一斉に始めました。イチイは時間が経過したことでさらに赤が濃くなっていました。
キブシもたった80gで3回煮出しても煮出すごとに濃い色の染液がとれたのには先生も「根性がある」と褒め称えていました。
キブシは染液に浸して水洗い後、鉄媒染にすると期待の空五倍子色に! しかもシルクならでの光沢に!
イチイはもう少し複雑な作業になり、染液に浸したあと水で洗い、板の位置を変えてから再度染液に浸して水洗い後、鉄媒染にして水洗い。
染色の専門用語にもだいぶ慣れてきました。その後「畳んだ布を広げる」という今日最大の山場になりました。
これがやってみると想像を超えた世界で、白地・無媒染・無媒染と鉄媒染の重ね、鉄媒染と4色となって染まり、
出来上がった模様も、まるで万華鏡の世界! 満足の仕上がりでした。
来月は各自が好みの材料を持ち寄っての課題になります。さて何にしましょう。楽しみです。
【開催日】2022年5月13日(金)
【場 所】川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施概要】草木染の基本講義、カラスノエンドウの緑染めとヤシャブシで模様出し
【スタッフ】講師:奥村具子、中野修平
【受講者】加古明子、石井由美子、氏家清高、藤岡眞
【報告者】藤岡眞
2022年度の草木染指導者研修第2回が実施されました。ここ数週間梅雨の走りのような天候が続き、第1回に続いて今回も雨模様の中での研修となりました。
最初は座学。タイトルは「苧麻と木綿」 <民衆の衣料の歴史>です。
*古代の衣生活
縄文時代の古代遺跡から布片・繊維の部分が出土された。「魏志倭人伝」に苧麻と絹が衣類の主な原料であったとの記述あり多様な植物繊維、楮(コウゾ)、科(シナ)、葛、藤などの身の回りになる植物繊維を利用して暮らしていた。
*苧麻(カラムシ)を育て、織る
畑で育てたカラムシから繊維をとり、細かくつないで糸にする。布一反を織るのに40-100日かかるとされる過酷な労働であった。
*木綿の歴史
長い間日本人にとって木綿は高級品で、朝鮮、中国から輸入されていたが、16世紀には、日本国内でも作られ始められる。木綿の用途は初めは合戦用の兵服であった。
*ワタを育て、織る
専門業者による分業が起こり、木綿を糸から布を織るのに1反2日と速くなった。紺屋が並ぶ神田は、江戸っ子の流行の発信地であった。木綿は、江戸半ば元禄文化で町人にも使われるようになった。
古代より、布は生活に寄り添いながら発達してきた歴史を教えて貰い、日本人の知恵と努力の結晶であることを再認識しました。
本日の染めは、季節の素材を入れて、カラスノエンドウの緑染めとヤシャブシの模様だし。
カラスノエンドウは、茎・葉を1Lの水あたり25gが適量でしたがかなりたくさん使いました。1Lに炭酸カリウム1gを加えアルカリ煮だしをする。緑がかった液となる。2番液までアルカリ煮だしをしてから酢酸を加えて中性化して布を浸す。水洗い、アルミ媒染をして、さらに弱酸性にした液で2度染めをする。今回は、結果としてあまり緑色にならず、黄色が勝っていた為、後半の研修で藍をかけて緑色にする予定です。
ヤシャブシは、1Lの水に15gの堅果加え、沸騰後10~20分煮出す。3番液でも十分濃い。タンニンを含むので鉄媒染が茶色系のグレーではっきりした色が出る。
輪ゴム、洗濯ばさみ、荷造り用紐、割りばしを使って、各自それぞれに染め模様を作りました。ほどいてみると、期せずして各自の性格が現れた模様が現れ、なんとなく納得して本日の研修は、終了しました。
【開催日】2022年4月15日(金)
【場所】川崎市黒川青少年野外活動センター
【実施概要】草木染の基本講義、キバナコスモスとハルジオンを染液として
2種類のレーヨン製ストールをアルミ媒染と鉄媒染で染色
【スタッフ】講師:奥村具子、中野修平
【受講者】藤岡眞、加古明子、石井由美子、氏家清高
【報告者】氏家清高
【実施概要】
2022年度の草木染指導者研修が開講されました。今年度初めての研修で、新受講者としてはこれからの期待感を胸に秘め、新鮮な気持ちで会場へ向かいました。
午前前半は座学です。自己紹介を終えて皆さん打ち解けた雰囲気の中で座学は始まりました。
明治期に山崎斌により「草木染め」と命名されました。古くからある呼び名ではないことを知りました。その息子である山崎青樹が著した「草木染日本色名辞典」の話題になり、その本のページをめくってみて日本に伝わる色の多さに驚嘆するばかり。改めて日本の文化の奥深さを感じることができました。
古代から赤は魔よけであり聖域を表し、藍は防虫・殺菌効果があり、「冠位十二階」のように色によって階級を表してきました。また、奈良時代は季節感を色に託し、平安時代は日本人の色彩感覚が頂点の時代を迎え、戦国時代は南蛮貿易を通して鮮やかな色使いが生まれ、江戸時代は藍染の庶民の色が生まれた等、歴史を学びました。映画で見られるような衣装が目に浮かびます。
材料について。媒染剤は金属イオンの働きで染料物質を定着させ、色を落ちにくくし発色をよくします。主にアルミニウム媒染剤に生ミョウバン・焼ミョウバン、鉄媒染剤に硫酸第一鉄があります。
動物繊維は天然染料はタンパク質と結合しやすいので最も染めやすい。植物繊維は天然染料全般は染まりにくく、タンニン系染材・藍は染まりやすい、などなど。
午前後半は染め液作りの作業を行いました。染料はキバナコスモスとハルジオン。キバナコスモスは昨年花ビラを採取し乾燥したもの、ハルジオンはこの日講師の方が採取した根から上の部分。ハルジオンは細かく裁断し、キバナコスモスは花弁そのまま、それぞれ大きな鍋に入れ沸騰後弱火で20分煮出します。キバナコスモスは乾燥花弁なので少量でも十分です。染め液は染材を濾して盥へ移します。熱いので十分注意します。規定量の生ミョウバンと硫酸第一鉄を別々の鍋に入れ熱湯で溶かし、染め液を作成しておきます。ミョウバンは熱湯でないと溶かすのに苦労します。これで準備完了。
まず初めに小さく切ったサンプルの布地(絹、木綿、木綿(濃染剤使用))を染色します。あらかじめすすいだ布地を80℃くらいの染め液に10分漬け、水洗いして絞り媒染液に20分漬けます。さらに水洗いして絞り、2度目の染めを10分染めます。これらのサンプルは布地は乾燥後、草木染見本帳に受講者が貼り付けて見本として保存します。
昼食後、各受講者が染料と媒染液の組み合わせを決めておき、2枚のストール(レーヨン100%、レーヨン90%と絹10%)を染色しました。ストールはキバナコスモスとアルミ媒染で染色したものは鮮やかなオレンジ色になり、ハルジオンと鉄媒染で染色したものは薄い茶色のように染色されました。ただし、単色の黄色とか茶色とは違う、何とも言えないような色です。第1回でこのような成果があり、これからの研修が楽しみです。